建設業財務諸表における人件費の区別

行政書士コバン法務事務所、代表の中村です。

建設業財務諸表を作成する上で人件費(役員報酬と従業員給料は区別してください)の計上をどのようにすればよいのか悩まれる方が多いのではないでしょうか?

そもそも税理士さんに作成してもらう決算書では建設業財務諸表のように4つに分かれていることはなかなかないと思われますので解説していきたいと思います。

建設業財務諸表では人件費を以下の4つに分けて計上することになります。

①従業員給料手当(損益計算書)

②労務費(完成工事原価報告書)

③うち人件費(完成工事原価報告書)

④兼業原価の人件費(兼業事業売上原価報告書)

建設業ではまず現場に出るか出ないかに分けます。

そして現場に出ない人の人件費が①従業員給料手当になります(総務や経理などの管理や営業にかかわる人の人件費)。

現場に出る人で工事にかかわらない人の人件費は④兼業原価の人件費にあたり兼業事業売上原価報告書の労務費に計上します。

問題は②と③で困る方が多いのではないでしょうか?

②労務費は工事にかかわる人のうち、日雇い、日給月給の現場作業員の日当やアルバイト代が計上されます。

③うち人件費は正規従業員(工事に出る人)に対する給料を計上します。

ここで気を付けてほしいのが③うち人件費です。

相談を受けた事業者様から副本を見せていただくとうち人件費が空欄になっていることが結構あります。

財務諸表ではかっこ書きになっていて大したことがないようにみえますが、上記で説明した通り正規従業員に対する人件費ということは、うち人件費が空欄では現場に配置される主任技術者の人件費が出ていないということになり下請に丸投げしている財務諸表をつくっているということなので、提出の際に窓口の担当官によっては厳しく説明を求められることになります。

不慣れな方だと税理士さんの作成した決算書を丸写しされている方がおられますが、今回の人件費の件だけでなく決算書を翻訳し作成するのが建設業財務諸表であり、状況によっては粉飾となってしまう恐れがあるので細心の注意をもって作成してください。

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